2月11日(火・祝)、宮城県多賀城市市営鶴ケ谷住宅集会所にて「第3回 大規模災害公営住宅 自治会交流会」を開催しました。第1回・2回と岩手県陸前高田市内で開催してきましたが、3回目となる今年は、昨年参加した鶴ケ谷住宅自治会さんがホストを務めて下さり、宮城県での開催となりました。
この交流会は、宮城・岩手県内の大規模災害公営住宅(整備戸数100戸以上)の単独自治会(町内会、または自治組織)、および支援者(行政、社協、NPOなど)を対象としています。今回は、11団地(岩手4、宮城7)に加えて、多賀城市内の小規模団地自治会、その他の住民団体からも参加いただき、支援者と併せて約110名が一堂に会しました。
まず、災害公営住宅ならではの状況などを話しながら情報、ノウハウの共有を行いました。自治会ごとに運営体制や活動などそれぞれに特徴や工夫があるため、他県・他地区の取組みがヒントになることがたくさんあります。一方で、共有通する課題として、昨年に引き続き「個人情報の壁」「家賃の上昇」「役員の担い手不足」が話されていました。
午後の意見交換では、7つのグループ毎に、「持続可能なコミュニティ(自治会)」をテーマに、さらに「顔がわかるための取組み」と「役割に関わる人を増やす」に絞って今後の具体的な取組みを検討しました。どのグループも活発な意見交換となり、下記のような様々なアイディアが出ていました。
【顔が分かる取組み】
・集える場を上手に使って集金しながら顔を合わせる。
・班長の任期を短く(1ヶ月等)するのは有効。
・エレベーターの中でも顔を合わせたら挨拶する。
【役割に関わる人を増やす】
・声がけはやっぱり基本中の基本!
・時には飲みながら食べながらいろんな事案を共有する場を作り、役員が楽しむ。
・役員と住民が顔を合わせられる機会をつくる。
・「若い人は関心薄い・忙しい」という固定観念を捨てる。
・まず役員の仕事を見える化し、必要に応じて簡素化や見直しをする。
・「自治会」や「役員」の名称を変えてみる。
・避難訓練など世代を超えて関心があるテーマで関わる人を増やす。
「組織は人なり。会長は頭、総務は心臓、会計は肝臓、婦人部は腎臓、そして班長は血管である。」との哲学的な見解が出たグループもありました。
各グループへのコメンテーターを務めていただいた東北学院大学の本間特任教授からは、「災害公営住宅は、これまでと全く違環境で社会関係を作っていかなければいけない産みの苦しみがある。住民の意識が低いわけではないですよ。」とのお話もありました。
最後に、進行を務めた岩手大学の船戸特任助教より「担い手を確保し、コミュニティを持続させていく課題を入居者のみで解決するのは難しい。ただ、行政に任せっきりにするのではなく、行政や支援者と対等な立場で協議して課題に向き合っていくことが重要だ」と、連携の重要性が指摘され全体で共有しました。
いわて連携復興センターでは、地域コミュニティ支援事業の一環として岩手大学三陸復興・地域創生推進機構、みやぎ連携復興センターと共催でこの交流会を開催しました。引き続き、コミュニティ支援の課題の共有と連携を促進して各地で実践力の強化を図る取組みをサポートし、さらに、平時のコミュニティ支援につなげることができるよう考えていきたいと思っています。