8月23日 岩手県産業会館7階(盛岡市)にて、よりそいホットライン被災地事業報告会が
開催されました。
よりそいホットラインとは、一般社団法人社会的包摂サポートセンターが取り組んでいる
24時間365日つながる無料の電話相談窓口です。
電話相談は全国ラインの他、被災地専用ラインも増設し、岩手、宮城、福島の3県の被災者からの
相談を受け付けています。相談内容は、生活全般から医療、就労、法律、教育など各種分野のほか、
自殺予防やDV被害などの相談にも応じています。
当日は、関係者、支援団体等200人程が参加されていました。
よりそいホットラインの平成25年度の報告として、「被災地では、全国に比べ、自殺防止ラインに
かける割合が全国のおよそ3倍近く、
DV性暴力についての女性ラインにかける割合は全国のおよそ2倍近くになった」との報告がありました。
その後、「被災地に求められている生きる支援 ~平成25年度事業報告からみえてきたもの~」と題し、
特定非営利活動法人自殺対策支援センター ライフリンク代表 清水 康之氏と
一般社団法人社会的包摂サポートセンター 代表理事 熊坂 義裕氏の対談が行われました。
熊坂氏からは、「世の中には困難なことを抱えている方が沢山いる。
地域包括ケアということで、困難な課題を抱える方を地域で支える、寄り添っていく仕組みが必要」との
お話がありました。
清水氏からは、そもそも自殺のリスクはどうして高まっているのか?どういう時に高まるのか?を
自殺の実態調査結果からお話頂きました。
自殺の要因としては、「生きる時の促進要因より、生きることの阻害要因が上回った時」であり、
このアンバランスさがより顕著である被災地においては自殺のリスクがより顕著となっている」
「自殺対策において、一つ一つに対しては色々な手(支援)が打たれているが、すべてそれぞれの
領域の中で終わってしまっている。
自殺はプロセスで起きているが、支援は点で終わってしまっている。当然、支援はプロセスで
支援していかないといけない」とのことです。
また、後半のパネルディスカッションでは、各専門ラインのコーディネーター(自殺防止、外国語ライン、
女性ライン、セクマイ、被災地ライン)より
それぞれの特徴的な相談内容の発表がありました。
女性専門ラインのコーディネーターである近藤氏からは、「地域の支援力を強めるために
被災地の暴力被害影響は、3年を経過してさらに深刻度を増している。被災地に相談支援員を育て、
地域の回復支援力を育てることが何よりも
重要である」との報告がありました。
過去の災害から見ると、阪神大震災翌年の平成8年には神戸市で202人だった自殺者が、3年目以降、
260人、376人、386人と年を追うごとに増加した事実があることから、
今回の東日本大震災の被災地においても自殺者の増加が懸念されています。
また、自殺防止だけでなく、地域において自立した生活が行えるよう、一人ひとりの状況に応じた
自立相談支援の取り組みも行っている
「よりそいホットライン」のような取り組みは、とても重要な役割を担っていると思いました。